贈り物

クリスマスが近づくと思い浮かべる、オー・ヘンリーの有名な短編小説。「賢者の贈り物」

贈ったのは、髪のない妻に鼈甲櫛と、時計を持たない夫へ金の鎖。

クリスマスを前に、貧しい若い夫婦が、互いのプレゼントを買うための工面に腐心します。

夫の宝物は、祖父から父へ、父から自分へと受け継がれた、自慢の金時計。
妻の宝物は、長くて美しい髪。

妻デラは、古い革ひもに吊るされた夫の宝物である懐中時計に、金の鎖を買ってあげられるなら、と考えました。
しかし、妻の手元にあるのは、小銭ばかりのわずか1ドル87セント。

思いあぐねた妻デラは、自慢の美しい髪を切り、かつら屋で売ったお金で夫の為にプラチナの鎖を買います。

やがて帰宅した夫ジムに、デラは贈り物を差し出します。
短かく切られた妻の髪。
一瞬戸惑いのなか、夫が妻に差し出した贈り物は、大切にしていた金時計を売り払い買った、美しい妻の髪を飾るための鼈甲の櫛でした。

しかし、髪を飾る髪はなく、鎖に留める金時計はなく。

けれども、そこには間違いなく、深くて上質な互いの贈り物が存在したのです。思いやりという。

高級でなければ、豪華でなければ良しとしない心もある。

たかだか500円、1000円でも、心より相手を思ったプレゼントと、それを汲み取る心も存在する。

飲む場でも、上質の場に特別な料理はいらない。
缶ビール片手でも、至福の時がある。
そこには上質の人と心があるから。

真に賢い人というのは、思いやりに溢れているものです。
人生を豊かにしてくれるのは、そのような人と触れ合うことです。
人は、飛び切りの心をもってして、とびっきりの誠意ある人に出逢える。

記:2010年11月30日

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