お役立ちコラム

不動産事情雑感

まさか人類史に刻まれる大禍に遭遇するとは。
コロナに因る生命被害と共に経済的影響も計り知れない。
政府の緊急事態宣言により昨夜の帰り道の飲食店は更に閑散としていた。

どうやら、直ぐに影響はないと思われていた我々不動産業界もしかりの様相だ。
中規模以上の、賃貸を専門に営業展開しているところや売買専門業者の話しによれば、このところ問い合わせも来店も、客足がぱたりと止まったという。もはや他人事ではない。
中国からの部材が入荷せず工事が停止したまま引き渡しも出来ずにいる建築、新築分譲業者は一層深刻だ。

更に雇用不安が及ぼす不動産需要の減速。
あるいは、賃貸居住者の滞納懸念。保証会社を使っているといってもその保証会社もまた戦々恐々とならざるを得ない。。

人材派遣会社の話しでは、いずれ世に人材が溢れてくる。これまで人材不足に悩まされていたが“人財”を得る機会が・・
そんなことを言っても、その時には雇用出来る場が無くなっている。
人を抱えている経営者は大変だ。
それでなくとも制度先行、働き方改革によって教育現場同様に偏重的意識が蔓延し、「もう経営なんてやってられない」という中小零細経営者の声。
小さな商いは加速度的に消滅し、増えているのはパーキングばかり。

取り急ぎ目の前の見えぬ脅威に、皆が意識を共有して立ち向かわなければならない。
正にコロナウィルスとの全面戦争の様相だ。

昨日、不動産賃貸サイトを検索していたら、あまりに氾濫する物件数に、見ているだけでうんざりした。
いったいどれだけの物件数が載っているのだろう。
ある不動産会社では、登録7000件を謳っている。
北九州市小倉北区、南区でアットホーム社に登録されている賃貸物件数は5761件。
探す方も大変。業者も客の奪い合い。

平成31年度市の統計による南北の人口は合わせて392,548人。それから住所移動するとしたら、の年齢層(19〜34歳)計を見ると62,433人(これには世帯も入る)。

住替えには費用も労力もいる。住替えしたくともできない時代に、この内どれだけの人数が実際に住まいを変わっているだろう。
僅か数パーセントにも満たないのではないか。その疑問は何年も前から抱いていた。
しかも移転となると購入も含めての数となり、賃貸居住は更に減る。
裏返せば、年齢の幅を広げたとして不動産取得者もそう言える。

市の転入転出者数による人口増減はやや減で推移。
県外からの入居者があってもそれだけまた出ていっているのだ。
故に相変わらず供給過多に変わりない。

北九州市及び近郊郡部を含めての不動産業者は約1000社。
市場縮小、明らかに物件飽和状態の中で更に新築物件が供給されている。

毎週のように投函される各社の「求むチラシ」。
体力勝負。群雄割拠の戦国時代。

世の中既に大きく変化している。
その内、Amazonで不動産探しすることになるのもまんざら夢でもない話。
その方がよほどに統一されて信頼性があるかもしれない。
個人間取引も増え、質店のCMではないけれど、不動産業界も「アプリで売らずに持って来て〜」ということにもなりかねない。

弊社のような超零細は此処にいてはいけない。やがて沈没する。その他大勢の中にいてはいけない。
今日、Webサイトで見た不動産関連の見出しに「あなたがお客なら、どの不動産会社と契約しますか?・・」とあった。
当然、私はわが社から買うだろう、と。与えるものなくして存在価値はない。

取捨選択すべきは刻々と変化し、時代は加速度的に流れていく。
朝の「機会」は夕方には既に逸失の過去となっている。一層真価を求められながら、故に不変なる大切なところを行く。
この混迷の時代にあって、根本から見直す「選択」と「変革」への覚悟が必要だ。 同時に、乗り越えた先の希望を棄てないこと。
人々の底力により、再び街に笑顔が戻ることを信じたい。


相談Dr.Next