物より想い出

昨日、管理物件に入居いただいていた方の退去立ち会いをしてきました。
早いもので十四年。

法人契約だったそのお客様は、転勤によりはるか遠い関東へ。
戸締まりをし、親子三人それぞれのスーツケースを引きながらバス停へと向かう後ろ姿を見送った。

最後に家の写真を撮られているまだ学生のお嬢さん。
だとすると十四年前はまだ・・

思い出いっぱい。きっと友達もいっぱいできたに違いない。
元々自宅は関東圏にあるとのことだが、まだ当分帰れそうにもないとのこと。

人影無くなった部屋は見事に拭きあげられていた。

時々しか電話で話さなくとも、こういった別れの立ち会いは、流れた歳月といっときの縁につい感傷的になる。
そして、ふと、私はやはり人が好きなんだとも思う。
不動産の仕事をしながら不動産に興味もなく、不自由極まりないビル所有なんてただでも要らない。林立するビル群を見るとぞっとする。

人生、人には嫌なこともたくさん受けてきたけど、善き人もいっぱいいた。
その人たちと触れあっていると心が満たされる。そこの所だけで仕事をしてきたようなものかもしれない。
人に活かされ生かされた人生。ある意味天職。

暫くしたら、お礼の手紙を添え、新天地に向けてお菓子でも送ろう。

物より想い出。